こんにちは。
台東区上野の弁護士、中尾信之です。
昨日、
最高裁判所は、
認知症の男性の列車事故をめぐり、
男性の家族には
鉄道会社に対する損害賠償責任はないとの
判断をしました。
この訴訟は、
認知症の男性が徘徊して線路に立ち入り、
列車に衝突して死亡した事故に関して、
鉄道会社が、男性の妻と長男に、
列車が遅延するなどの損害が発生したとして、
損害賠償を請求した事案です。
判決で、最高裁判所は、
同居の配偶者であるからといって、
法定の監督義務者(民法714条)
には当たらないとしました。
もっとも、
特段の事情が認められる場合には、
法定の監督義務者に準じて、
損害賠償責任が認められことがある
という内容の判断をしました。
この判決は、
認知症の高齢者を介護する家族の現状に配慮した
妥当な判断であると評価できます。
ただ、
この判決によると、
介護の度合いが高くなるほど、
特段の事情が認められて、
損害賠償責任を負うことになりやすく、
今後の検討課題の多い判決であるともいえます。