刑事事件
こんなお悩みはありませんか?
逮捕とその後の手続き
逮捕されると最大72時間身体の拘束を受けます。その後、さらに身体の拘束が必要であるとされると、勾留が認められ、勾留延長も含めて最大20日間の身体の拘束を受ける可能性があります。その間に、検察官が起訴するかどうかを決めます。
そして、起訴されると裁判所で刑事裁判を受けることになり、有罪・無罪が決せられます。起訴前に勾留されて起訴された場合には、起訴後も勾留が継続されますが、起訴後は保釈請求が可能となります。
なお、罰金100万円以下の場合は、略式起訴となることがあり、その場合は正式な裁判よりも簡易な手続となります。
弁護士に依頼するメリット
刑事事件を犯してしまった場合、特に逮捕・勾留された場合には、仕事やご家族の生活に多大な支障をきたします。弁護士は、夜間や休日であっても、逮捕・勾留されたご本人と接見(面会)することができ、ご本人に直接事実を確認できます。必要に応じてご本人とご家族・勤務先などとの連絡役を務めることができますし、検察官に早期に釈放するよう働きかけることもできます。
また、逮捕・勾留の有無にかかわらず、弁護士は、弁護人として被害者と示談交渉することもできますし、適正な処分がなされるよう弁護活動をすることもできます。
もし刑事事件の被害者となってしまった場合には、弁護士は、心身ともに苦痛を受けた被害者に代わって,加害者と示談交渉をすることができます。場合によっては、刑事裁判に参加する際の代理人(被害者参加代理人)になって、より良い事案解決のためのサポートができます。
弁護士にできること
弁護士は、まずは逮捕されたご本人が勾留されないように弁護活動を行います。勾留となると最大20日間の身体の拘束を受けることになります。そのため、弁護士は、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを説明して検察官に勾留請求をしないように働きかけたり、裁判官に勾留を認めないように意見を述べたりします。
勾留されてしまった場合には、不起訴を目指して弁護活動をします。勾留されたご本人が無実を主張している場合には、ご家族などにも協力してもらい、無実の証拠を収集して犯罪が立証できないことを検察官に説明します。犯罪を認めている場合にも、被害者と示談交渉するほか、犯罪の重さや動機、本人や家族の状況、仕事への影響などを検察官に説明して、起訴しないように働きかけます。
起訴されてしまった場合にも、無罪を主張するのであれば、無罪判決のために新しい証拠を収集したり、今ある証拠を見直したりするなどして、無罪判決を目指して弁護活動を行います。起訴された事実を認める場合には、起訴前の活動に加え、公判における被告人への質問や情状証人への尋問などで、被告人の反省や被告人の更生可能性、再犯のおそれがないことなどを明らかにして、裁判官による量刑の判断において、少しでも刑が軽くなるように弁護活動をします。
これらのほかにも、弁護士は、被疑者・被告人となったご本人とご家族・勤務先との連絡役など、様々な場面で被疑者・被告人となったご本人の利益のために活動します。
ご家族の方へ
逮捕されると、逮捕されたご本人は警察署の留置施設や拘置所で最長72時間身体を拘束されることになります。その後、勾留が認められると、身体の拘束が継続され、さらに最長20日間、警察署の留置施設や拘置所に留め置かれることになります。
この間は、弁護士以外は、ご家族・ご友人といえども、逮捕勾留されたご本人との面会は制限を受けることになります。ご家族・ご友人などの面会は、平日昼間の1回15~20分程度に限られ、必ず警察官が立ち会います。また、面会できるのは、1日1組だけです。先に面会した方がいた場合には、ほかの方は、その日は面会できません。
衣類・洗面用具などの生活必需品や現金の差入れは、留置期間・勾留期間を通じて可能です。ただ、各警察署によって差入れのルールが異なりますので、あらかじめ警察署に問い合わせるのがよいでしょう。
留置所・拘置所では飲食物や薬の差入れはできません。しかし、ご本人は、留置所・拘置所内で生活必需品や飲食物を購入できます。現金の差入れをすることで、ご本人は、生活必需品などを購入できるようになりますので、身体拘束のストレスを感じているご本人の大きな支えとなるではずです。
Q&A
今朝早く警察官が自宅に来て、突然家族が逮捕されてしまいました。全く事情がわからないので、とても不安です。逮捕された本人は、これからどうなりますか?
逮捕されると、本人は、最大72時間、警察官・検察官による取調べを受けます。取調べ後、検察官が勾留を請求し、裁判官がこれを認めた場合には、引き続き本人は勾留されます。検察官が勾留を請求しない場合または裁判官が勾留を認めない場合には、ご本人は釈放されます。ご家族が逮捕された場合には、できるだけ早期に弁護士がご本人と接見(面会)して、ご本人から事情などを聴き取ることがとても重要です。
さらに起訴されると、ご本人は、そのまま勾留され、刑事裁判を受けることになります。起訴後に勾留されても、弁護士による弁護活動が功を奏するなどして、保釈が認められた場合には、ご本人は判決までは自宅などに戻ることができます。
有罪判決を受けると、ご本人は、懲役・禁固・罰金などの刑の執行を受けることになります。ただ、執行猶予付の有罪判決を受けた場合には、釈放されます。
執行猶予の期間中、一切犯罪をしなければ、その刑の執行を受けなくてもよいことになります。
有罪判決に不服がある場合には、判決から2週間以内に控訴して、控訴審の刑事裁判を受けることもできます。
友人が逮捕されて、今も警察署で勾留されています。友人と面会したいと思いますが、接見禁止が付いているとも聞きました。友人と面会できますか?
ご本人が勾留された事実を否認している場合や共犯者がいる場合、組織的な犯罪の疑いがある場合などには、弁護士以外の面会を禁止する「接見等禁止」が付されることがあります。この「接見等禁止」が付された場合には、ご家族・ご友人などの弁護士以外の方は、ご本人と面会できません。
「接見等禁止」を全部または一部を解除するためには、裁判所に抗告・準抗告を申し立てたり、職権による解除を働きかけたりして、これが認められる必要があります。
なお、「接見等禁止」が付けられているかどうかについては、通常は、留置先の職員(警察署であれば留置係)に問い合わせれば、教えてもらえます。
ケーススタディ
【ケース-1】
万引き(窃盗)で現行犯逮捕されてしまった
【当事務所の対応】
逮捕翌日、警察署でご本人に接見して、受任いたしました。
接見では、ご本人から、現行犯逮捕された際の事情などを詳しく聴き取りました。合わせて、ご本人には今後の刑事手続の流れや取調べを受ける際の注意点などを丁寧に説明いたしました。
接見後、担当の検察官に連絡して、ご本人から聴き取った事情のほか、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことも説明いたしました。
【結果】
ご本人は、逮捕から3日目に不起訴処分となり、無事に釈放されました。
釈放後、ご本人は、当事務所に挨拶に来られて、「先生ががんばってくれたおかげで、すぐに釈放されました。本当にありがとうございました。」とおっしゃっていました。
【ポイント】
逮捕された場合には、できるだけ早期に弁護士がご本人と接見して、ご本人から事情などを聴き取り、検察官に事情を説明するなどの弁護活動を行うことが重要です。
【ケース-2】
迷惑防止条例違反(性犯罪)で逮捕・勾留されてしまった
【当事務所の対応】
ご親族から、ご家族が迷惑防止条例違反(性犯罪)で逮捕・勾留された案件について、ご相談を受けて受任いたしました。
当日の夜、警察署でご本人に接見いたしました。
接見では、逮捕・勾留された事実や逮捕された状況、取調べの状況などを詳しく聴き取りました。合わせて、ご本人には今後の手続の流れや取調べを受ける際の注意点なども丁寧に説明いたしました。
その後も、本人との接見を重ね、ご家族からの伝言のほか、衣類・雑誌なども差入れいたしました。
接見と並行して、被害者に連絡して示談交渉をすすめ、示談を成立させました。
【結果】
ご本人は、逮捕から16日目に不起訴処分となり、無事に釈放されました。
釈放後、ご本人は、当事務所に挨拶に来られて、二度と犯罪をしないことを固く誓い、何度も感謝の言葉をおっしゃっていました。
【ポイント】
検察官が起訴・不起訴の判断をする際、被害者との示談成立は、ご本人にとって非常に有利な事情となります。性犯罪の場合などには、被害者の心情にも配慮して、弁護士に示談交渉を任せることで、スムーズに示談が成立することも多いです。
【ケース-3】
在宅で起訴されて刑事裁判になり、多数の前科もある
【当事務所の対応】
勾留されずに在宅で起訴されて刑事裁判になり、ご本人に多数の前科もある案件について、受任いたしました。
ご本人は、無職で身元引受人もおらず、被害者も示談交渉・被害弁償を拒否しているなど、実刑判決が予想される事案でした。
依頼後、ご本人と事務所での打合せを重ねました。そのうえで、執行猶予付の判決を目指して、ご本人には禁酒や反省文の作成などをしてもらい、本人と一緒に刑事裁判の準備をしました。
【結果】
執行猶予付の判決をもらうことができました。
判決後、ご本人は、当事務所に挨拶に来られて、何度も頭をさげながら、「先生のおかげで執行猶予になりました。」「ありがとうございました。これからがんばります。」とおっしゃっていました。
【ポイント】
勤務先・身元引受人の存在や被害者との示談の成立などは、執行猶予付判決を得たり、裁判官による量刑を軽くしたりするためには、非常に重要な事情です。しかし、これらの事情がなかったとしても、少しでも有利になりそうな事情をご本人と一緒に考えて準備し、裁判官にアピールすることが大事です。